同胞青年たちの中には、マイナンバーカードを申請し所有している人はどれくらいいるのでしょうか。
国はすべての国民がマイナンバーカードを所有することを推進しています。健康保険証の代わりに使えたりと普及を進めるためにあの手この手を使っています。
国家による国民の管理システムとして、個人の資産や所得をはじめとした全ての情報を紐づかせて把握できるようにするのが本質であるこの制度なのですが、最近こういうことがありました。
昨年12月から今年の3月までにカードを取得していない人に向けて「マイナンバーカード交付申請書(QRコード付き)を順次発送していました。
マイナカードを取得していないとある朝青員のもとにもこの郵便物が届きました。
見開きの用紙には左側に発送先(対象者)の住所と氏名、そしてご案内が書かれています。
右側にはマイナカード申請書が載っています。
この朝青員トンムには本名と通名の両方が登録されています。
正確には、市区町村が管理する住民基本台帳システムに、本名と通名が登録されています。住基システムとは、役所へ住民票の発行を求めにいったとき、役所が書類を出すのに利用する名簿です。
今回の問題となるのはこの申請書の氏名と封筒に記載されている宛名です。
普段、この朝青員トンムは本名で生活をしていますが登録上は通名が残っていました。
問題はここから・・・
この度送られてきたマイナンバーカードの封筒には、通名で宛名が印字されていました。
日々の生活を本名で送っており、送られてくる色んな書類も本名で届くにも関わらず何故か通名で届いたのです。
なので、どうして通名で届いたのかを役所に問い合わせてみました。すると帰ってきた答えは、<通称名の登録がある人は一律通称名で通知が送られるシステムで組まれてる>とのこと。
ここで立ち止まって考えてみましょう。
在日同胞の中には日々の生活を営むうえで色々な事情があり、通名で郵便物が届く方もいるのは事実です。
しかし、自身が本名で生きることにアイデンティティを感じているにもかかわらず、その方の考えは吸い上げようとせず、一律に通称名で送る方が便利であろうと勝手に考え、郵便が送られるようにシステム設計がなされているところに闇を感じざるを得ません。
通名でいいじゃん、そう解釈をして何の問題意識もなく当たり前のように通名で送られるシステムを組んだところに無意識の同化があるといえるでしょう。
在日朝鮮人の歴史的背景からもわかるように私たちにとって名前というものは非常に重要な意味を占めています。「親につけてもらった名前だから大事」という一般的なこともそうですが、植民地時代に≪創氏改名≫という屈辱的行為を受けて日本人として生きることを強要された時代を考えると、自分とはだれかを現す名前は非常に重要なものです。
歴史を考えず、通名でいいだろうと安易に考えてしまうところに見えない差別意識があり、国家的なものではなくシステム設計をする担当者などの一般の方にまでこのような考え方が浸透しているのが大変なのです。
言っちゃえば「同化政策」以外のなにものでもありません。所詮名前だからという理由で見過ごしていると知らぬ間にドンドンドンドン侵されていくでしょう。
筆者も朝青員トンムから話があった後、事実を確認すべく役所から教えられた「マイナンバー総合フリーダイヤル」に問い合わせてみました。
するとオペレーターの方は、<通称名の登録がある人は一律通称名で通知が送られるシステムで組まれてる>ことに対して認め、「送付状はあくまで宛名」とさらっと言ってのけてくれました。
「送付状はあくまで宛名」
「送付状はあくまで宛名」
「送付状はあくまで宛名」
とハッキリ言われました。
大事なことなので4回書いちゃいました。
本名と通名、日本社会が生む歪な構造が見えず、当然のごとくたかが宛名と言ってしまうあたりに恐怖を隠せませんでした。
最後にその名前が問題なのだよ。ということをしっかり上司に電話を代わらせて抗議しました。(それ以上、上の機関に電話する体系はないとのこと・・・)
大事なことはこのような無知と偏見は今に始まったことではなくずっと続いてきました。けれども私たちが常に問題意識を持ち、自主性と尊厳を守っていくために常に声を上げ続けていくとが何よりも大事です。
本名と通名の関係は歴史的な側面、日々の生活における側面などいろいろあれど、本来なら本名で差別や抵抗を感じることなく生活ができなきゃいけない。そういう社会であるべきでしょう。
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