金正恩委員長が4月24日~26日にかけてロシアを訪問し、プーチン大統領と会談した。
会談では①両国の現状を報告し今後の朝ロ親善関係の発展を推進していくうえでの具体的な方向と処置が協議され、②現状の協力すべき問題を真摯に話し合い双方が満足のいく見解で一致した。
今回の首脳会談については、両国の親善関係をより強固なものにし、第2回朝米首脳会談のあと不安定になっていた朝鮮半島情勢を改善していくうえで重要な意義をなす有益なきっかけとなったと両国ともに評価している。
しかし、この両国の評価を無視して、日本のメディアからは色々と否定的な話が出てるので疑問に思っている人もいるはず。
そこで今回は主な疑問を2つピックアップしてみた。
■共同声明もないし、実は会談は失敗だったのでは?
→大前提として首脳会談で共同声明を採択しないケースは珍しくない。日本ではあたかも「ありえない出来事」のように報道しているメディアが多く見られるが、決してそんな事はないのだ。4月24日付けのハンギョレ新聞は今回の共同声明が発表されなかった件について「米国が神経を尖らせているのに、ロシアがあえて米国と軋轢を生じさせる必要はないため」と解説した。つまり、ロシア側が米国との軋轢を避けるためにとった処置なのではないかという意見。
一方で共同声明を発表しないのは、共和国側からの要請ではないかとの見方もある。同記事では「金委員長が“米国の勇断”を待つとした年末以前に、非核化関連合意を露出させることは負担になるだろう」とも分析しているのだ。
それ以外にも、今回の会談の実質的な準備期間が長くなかったことなども理由としては充分考えうる。いずれにせよ、両国間の意見が食い違ったせいだと大騒ぎするのは早計であり、日本のマスメディアが都合良く囃し立ててるに過ぎない。
■ロシア側は本当は共和国を好ましく思っていないらしいけど…。
→「ロシアは経済制裁の解除を求めているだけで、別に金正恩を愛してもいなければ共和国を好きな訳でもない」とか言ってるラジオ番組もあった気がする。
プーチン大統領はかつて朝鮮が米本土を射程内に置くICBMの試射を成功させた時、記者会見で「金正恩委員長はゲームに勝った。彼は既にれっきとした熟練政治家だ」と述べて注目を集めた人でもある。今回の首脳会談でも、わざわざ首都から遠く離れたウラジオストックまで直々に赴き、金正恩委員長の初のロシア訪問を熱烈に歓迎している。晩餐会では、主席や総書記との思い出を語り、歴史ある朝ロ親善関係について熱弁したという。
これだけ見ても好ましく思っていないのかどうかはわかりそうなもの。「好ましく思っていない」というのは第三者の希望的憶測なのではと私は個人的に思っている。
ちなみにさっきのラジオ番組は最終的に「北朝鮮は結局日本に泣きつくしかないのです」と主張していた。どちらのメディアを信じるかはこの記事を読んでいる読者にお任せしよう。
歴史的な4.27や9.19、そして初の朝米首脳会談前でさえ共和国は日本メディアでは散々な言われようだった。しかし、こうして歴史に残る成果を築き上げている。
今もまさにこのような時期なのではないかと思う。
かつて朝米首脳会談が延期になった時のように、ハノイ会談での「決裂」を機に停滞しているように見えても、情勢は絶えず変化し前進している。
ここにいると色んな憶測が飛び交って混乱しがちだが、だからこそ私たちはしっかりと正しく情勢を理解する力を養っていかなくてはいけない。
(2019.5.2 趙)
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