10月16日に広島で争われてきた朝鮮学校に対する高校無償化制度適用を求めた裁判の高裁判決が下されました。
まず、広島での裁判過程を振り返ってみましょう。
2013年8月1日:裁判開始(原告に学園と卒業生109人)
2017円7月:広島地裁での判決
内容は原告側(朝鮮学園と卒業生)の請求をすべて却下した敗訴となりました。
2017年8月:高裁へ控訴
今回の判決はこの高裁での結果、ということになります。
「敗訴」
非常に悔しく、腹立たしくもありますが不当判決をうけました。
不当判決といわれても裁判で使われる言葉は本当に難しく、何を言っているのかわからないのが大多数の意見でしょう。どういう理由で負けたのか、東京や大阪の裁判と何が違うのかわかりづらくてしょうがないでしょう。筆者でさえも混乱することが多々あります(汗
なので読者向けに一言で解説すると・・・
一番大事な適用対象になるはずだった根拠(ハ規定)への判断を避け、ウリハッキョに補助金を出しても共和国や総連組織とのかかわりが深くそのお金が適切に運営に使われるかわからない。だから無償化を適用しなくてもいい。という国側の主張を支持した不当な判決となりました。
裁判での争点は大きく4つありました。
1)朝鮮学校が規程13条に適合すると認めるに至らないとした当時の文部科学大臣の判断に逸脱、権利の濫用がなかったのか
2)不指定処分に手続き的な違法があり無効となるか
3)省令からハ規定を削除した改正により不指定処分が違法となるか
4)不指定の結果が憲法や国際人権法に違反するか
上の争点に対して裁判所がどのように判断したかというと・・・・・・
① 判決では本件規程13条適合性を認める事実の主張は各種学校の設置者(朝鮮学園側)が負う。
立証責任に基づいた判断と教育基本法16条1項の「不当な支配」にかかわる判断については文科大臣の一定の裁量に委ねられているとしています。
大臣の判断が正しかったとする根拠として、(1)朝鮮総連が朝鮮高級学校と密接な関係にある。
(2) 教育内容や人事などに影響を及ぼしているとする公安調査庁の資料、答弁、朝鮮総連と朝鮮高級学校の関係に関する共和国や総連の出版物がある。
それに加えて上の内容を証明する報道や申し入れなどが繰り返しなされ、就学支援金を支給しても、学校運営が法令に従って行われることに疑いがあるのを払しょくするには足りないから、朝鮮高級学校が規程13条に該当するとは言えない。
なので文科大臣の判断は一定の裁量を逸脱、濫用したとはいえないと結論しました。
②無償化に対する審査が行われていたのにも関わらずその結論の前に不支給の結果を出したことは違法ではないと裁判所は判断しました。
③は①②を理由に判断しませんでした。
大臣が権利を濫用したわけでもなく、手続きに問題がなくハ条項が削除されたのだから、判断する必要ない、そういうことです。
大事な部分を避けてそれ以外のところを結果ありきで決めてしまう司法の姿勢が表れているといえるでしょう。
④も①を理由に権利侵害ではないと判断しました。
不指定処分は、朝鮮学校が基準を満たしていないことを理由とするから憲法や国際人権法への違反にはならないとしました。
削除過程などを見てもわかる通り、政治的理由を大いに絡めているにも関わらず、手続き上の問題のようにこの部分でだけ矮小化しているといえるでしょう。
大阪地裁での勝訴では、規定ハ削除の違法性と規程13条の適合性に対して判断したことと比べると、裁判所は国側の矛盾を重ねる主張を支持する最低の判決を下したといえるでしょう。
高裁判決は福岡で10月30日に行われる判決を残すだけとなりました。
最高裁では審査もされず棄却をされ続けています。
日本社会で起こる社会問題や政治問題の原因となる部分が私たち在日朝鮮人に対する差別と通ずる部分が多いのではないか、そう思えてなりません。
国側が持ち出す主張がどれだけ不十分なのか、ウリハッキョをよく知る朝青員トンムたちが一番よくわかってます。私たちは間違っていない、当たり前のことを主張してるんだ!
そんな心をもって高校無償化だけでなく、幼保無償化など積み重なる差別をはねのけ、勝てるその日まで一心団結していきましょう!
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