『5歳の息子がテレビを見て「幼稚園無料になるんやて」と言いました。
私が「朝鮮の幼稚班は違うんだよ」と話すと、「なんで違うの?」と聞かれました。私がどう説明すれば良いかわからず黙っていると、息子は「なんも悪いことしてへんのになぁ」と言っていました。』
この話は、9月26日に東京都の連合会館で行なわれた「朝鮮幼稚班に無償化適用を要求する同胞緊急集会」で、抗議要請を行なった中央オモニ大会の代表が涙ながらに語った話だ。
そのオモニは今回の集会のため兵庫県から来たという。
息子に「朝鮮の幼稚班が仲間はずれにされている理由を聞きに言ってくる」と朝早くから家を出たそのオモニに、抗議要請の場にいた役員たちから納得のいく理由が説明されることはなかった。
集会の連帯挨拶で日朝友好女性ネットワークの坂本洋子(さかもと ようこ)さんは「印象操作は国内では通じても世界では通じない」と、度重なる勧告を無視し民族差別を続ける日本政府の姿勢を批判した。
昨日から実施された「幼児・保育無償化制度」から、朝鮮学校をはじめとする各種学校が除外されるという新たな民族差別。
「高校無償化」で朝鮮学校だけを除外するのに『てこずった』日本政府が、今回の「幼保無償化」から各種学校全体を除外してまで朝鮮学校の幼稚班を排除した。
その狂気ともいえる徹底ぶりに、もはや怒りを通り越して薄気味悪さすら覚える。
日本のメディアで今回の差別騒動の不当性を報道すれば、その記事に寄せられるコメント欄は「日本人の血税を外国人にやれるか」「自分の国に頼め」「総聯と縁を切れば良いだけの話」など卑劣を極めている。
同じ税金を納める外国人は単なる労働力であり、『仕事を与えてやっている』日本人と同化しないなら、アイデンティティを踏み躙り人間として当然の権利すら与えなくて良いと思っているのだろうか。
植民地時代の歴史から目を背け反省も教訓も得ずひたすらに都合の悪いものを覆い隠してきた結果、日本の思想はあの頃から何一つ変われなかったのだろう。
これが平和の象徴であるオリンピックを目前に控えた日本の『おもてなしの精神』なのだろうか。
連帯の挨拶を行なった平和フォーラムの共同代表である藤本泰成(ふじもと やすなり)さんは「日本で行なわれている差別の放置は、日本人としての人権の破壊に等しい」とし「人間らしく堂々と生きるために私は最後まで一緒に闘います」と力強く語った。
まさに「幼保無償化問題」は、日本人にとっても私たち朝鮮人にとっても、人間としての尊厳を取り戻す闘いなのだと緊急集会を通じて強く感じた。
だからこそ私たちは決して諦めず、これからもより多くの人に現状を知らせ、連帯し、自分たちの尊厳を守るため闘い続けなくてはいけないのだ。
(2019.10.2 趙)
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